佳き日に




[4]


「………逃げられたな。」

せんべいの声ががらんどうになっている部屋に響く。

エナカは部屋全体を見回す。
家具もなにもかも無くなっているが、ここに来たことがあるな、と思った。

「おい、その情報屋のいた場所ってここなのかよ。」

少しイラついた口調でせんべいがエナカに尋ねる。

「うん。一回ここに来たことあるし。」

「お前二十年以上も前のことよく憶えてるな。」

「ただ殺しただけのことだったら憶えてないよ。子供を生かしておいた時のことだけ憶えてるの。」

「つかなんでお前子供は殺さなかったの?」

「私の目的じゃないから。」

はぁ?というせんべいの声は無視してエナカは部屋の奥へと進む。


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