佳き日に



「お、おい‼この女がどうなってもいいのか!?」

男が戸惑った声を出す。

それもそうだろう。
せんべいがガスマスクのような形をしたプラスチックのマスクを着けたから。

その様子ではエナカを助ける気など微塵も見られない。


ふっと、エナカは手の力を弱める。
指の隙間から、さっきまで握っていた小さなガラス瓶が落ち、床に当たってパリンと割れる音がした。

目を閉じ、集中する。

「……うっ。」

男が呻いた。

銃がエナカの頭から離れ、ドサッと男の体が倒れる。

エナカは素早くせんべいと同じようなマスクを着け、目を開ける。

床にさっきまでエナカに銃を突きつけていた男が横たわっていた。


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