佳き日に





ドォン、と音がしてビルのガラス越しに煙が見えた。

大方、椿が色々な方面に流した情報を聞いて赤い女を狙ったメモリーズがドンパチをやっているのだろう。
全盛期から二十年も経ちもう四十後半の赤い女なら勝てると思っているのか。
勝算は、五分五分か。

「どーしようかな。」

双眼鏡を外し椿は考える。


きっきの話に戻す、椿が誰にも言ったことのない話。

椿の両親が殺されたのは椿が四歳のとき。
それも、赤い女に。
椿自身よく覚えていないが赤い女は四歳の椿を気絶させると両親を殺し、椿は生かしたままにしておいた。

目が覚めたら目の前にたくさんのゴミがあり、そこで両親の死を認識した。

悲しかったが泣きはしなかった。
生まれたときから殺し殺されが日常だったので両親の死もその日常の一部だと考えることができた。



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