佳き日に
「同居人から。買ってきてってメール。こっちはこんなに大変なのにー。」
アハハと笑って誤魔化そうとしたが、萩はぐいと身を乗り出して携帯画面を見る。
その目は、しっかりと雪が送ってきたメールの文章を追っていた。
漢字、書けないけど読めるのか、琥珀はそう考え、周りを見回す。
どこか、萩にバレずに逃げられる出口はないか。
胸の動揺が萩に悟られやしないか、琥珀はそればかり考えていた。
危険時の合図。
それは、雪がメールの件名の欄を使ったとき。
「差出人:雪
件名:買ってきてくれ
本文:小松菜、ドーナツ、桃、箸、手袋、黄色いピーマン、人参、下駄、ロイヤルミルクティー」
雪からのメールは、それだけ。