佳き日に
赤い女はさらに細い道に入る。
わざと人気のない方を選んでいるようだが、何故だろう。
人気があった方が助けを呼びやすいし、運良く秘密警察の人に会えれば椿を始末してもらえるはずなのに。
赤い女は右腕を負傷しているのですぐ警察なり救急車なり呼んでくれる人はいると思うが。
実際椿も赤い女が人気が多い所へ逃げたら見逃そうと思っていたのだ。
殺せたら儲け物、くらいの気持ちだったので別に逃がしても良かった。
惜しいことには惜しいが。
突然、赤い女がどこかの家の庭に入った。
ニャア、と飼い猫だろうか、場違いにのんきな鳴き声。
椿が呆然としている間に赤い女は庭に置いてあった植木鉢を掴み、振りかぶった。
ガシャァァンッ‼
思いっきり、窓ガラスにぶつかった。
そしてそのまま走って家の中に入る。
まさかの不法侵入。