佳き日に
[4:33years ago]
茜が連れてこられたマンションは外観と同じように部屋の中も品が良く落ち着いていた。
とりあえず飲みなよ、と差し出された紅茶からはとてもいい匂いがする。
なんという紅茶なのだろう。
茜は日本茶は毎日のように飲むが紅茶はあまり飲まないので珍しい甘い香りに鼻をひくひくさせた。
「で、君はこのメモを誰から受け取ったのか覚えている?」
「覚えてません。」
「だろうね。」
相変わらず男はサングラスを外さず、慣れた手つきで紅茶に砂糖を入れる。
「メモリーズというものたちがいるんだ。」
茜は紅茶に口をつける。
「見た目は人間そのもので、でも持っているものは人間よりも多い。高い身体能力に、記憶を盗む力。おまけに元々高い身体能力を、記憶を盗んでさらに上げることができる。参っちゃうよね。」
「……実在、するんですか?」
「するよ。君の家にあったメモ、あそこに書かれていた雨って奴は、その中でも最高峰。」
茜はどんな顔をすればいいのか分からなかった。
なんでそんなメモが自分の家にあったのか。