佳き日に




タンッと一回音が聞こえ、後ろからペタペタとした音がなくなった。


「……?」


ゼエゼエと呼吸も荒く、流れ出る汗を拭いながら後ろを振り返る。
萩は追ってきてはいなかった。

やった、という達成感と安心感とが一緒にやってきて足の力が抜ける。


ヘナヘナと琥珀はしゃがみ込む。

萩を撒いたんだ。
琥珀がそう思い、口元を綻ばせた時。



琥珀の目の前が陰った。
反射的に上を向く。


黒い塊が太陽と琥珀とを遮るように、宙に。



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