佳き日に
「椿が何やらかしたんだよ。」
「赤い女に殺されたそうです。」
まさか、と鉛丹は軽く笑おうとして、やめた。
桔梗の様子を見る限り、嘘は言っていない。
でも、そんな、まさかだ。
あの椿が死ぬなんて。
全てのメモリーズが死んだとしても一人ひょっこり生き残りそうな女だったのに。
「この前菘さんから連絡きたじゃないですか。椿さんの店が警察に襲撃されたって。」
カリカリと、桔梗がシャーペンを動かす音だけが部屋に響く。
銃声はいつの間にか止んでいた。
「あの時、警察の中に本物の赤い女がいたみたいです。」
「でも赤い女って言ったって、もう五十近いだろ。体だってもう思うように動かないはずだ。」
「どうやって赤い女が殺したのかは分からないですが、椿さんが死んだのは事実です。」