佳き日に




エナカは大きく割れた窓ガラスにベタベタにガムテープを貼られた家を眺める。

窓ガラスを通して、先程エナカが殺した女が横たわっているのが見える。

エナカは長時間息を止められることを生かした戦い方をしていた。
自ら目立つ格好をし、相手を狭く、かつ、空気が漏れにくい部屋に誘い込む。

異臭に気づいたときにはもう相手の意識はなくなる。
ただ、この方法は周囲に被害が及ぶので銃やナイフでの格闘が殆どだったが。
どうしても身体能力、格闘技術に圧倒的な差があるときはこの有毒ガスの方法を使っていた、というだけだ。

「おい。」

ブロロロ、と車が走ってきて窓からせんべいが顔を出す。

「お前、気体持ってないんじゃなかったのかよ。」

「洗剤使った。」

「トイレ用のか?硫化水素か。でもあれ死ぬまで結構時間かかるだろ。」

「うん、ハッタリとして。私が何か気体を発生させて殺そうとしてるって相手が思い込んで逃げようとしたとき、後ろからグサッと。」



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