佳き日に



視線の先には、萩と灰神楽の死体。
萩は雪によって銃で撃たれて死んだので血の量がものすごい以外に見苦しいところはない。

だが、灰神楽の死体はひどいものだった。
琥珀は本心では目を背けたいのだろう。
吐き気を必死で堪えているのかもしれない。


「あと数十分もすれば、ゴミになりますから。」

閏はそう言って琥珀を見る。
顔が真っ青になっていた。

普通はここで嘔吐してもおかしくないはずなのに、よく我慢しているな、と思った。

飛び降り自殺の死体はひどいものだとは聞いていた。


『自殺するんだったら、飛び降りはやめといた方がいいよ。』

何かの折に椿にそう言われたのを思い出す。

『中身全部ぶちまけちゃうんだって。脳があちこちに飛び散ってたり。下半身だったら腸とか出てきちゃって、見た人は絶対嘔吐するひどさ。』

『水死体とどっちがひどいですか?』

『どっちもどっちじゃない?』

周りに充満する血の匂いにも段々慣れてきた。


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