佳き日に
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まだ近くにメモリーズが待機している危険もあるということで、エナカはせんべいに駅まで送ってもらうことにした。
二十一年ぶりに乗ったせんべいの車は、変わらず煙草の匂いがした。
少し古めかしい車に取り付けられた機械からは透明感のある女の人の声の音楽が流れている。
「お前が殺したのは情報屋だったよ。」
そう言いながらせんべいは車に乗り込んだ。
「せんべい。」
「なんだよ。」
「これ、曲選べる?」
エナカの言葉にせんべいは機械の横に取り付けられているボタンをカチ、カチと押した。
ジャズのような音楽が流れてきて、エナカはそれに聞きいる。
言おうか言うまいか悩んでいたことを、アップテンポの曲に紛れさせて言ってしまおうかと思った。