佳き日に




一つため息をつき、言いにくそうに口を開く。



「期限はおそらく来週で切れる。」

車内の空気が一気に重くなった気がした。

期限とは、政府と秘密警察とが交わした盟約のことだ。
三十年間で、メモリーズを淘汰するという無茶な盟約。

エナカが秘密警察に入った当初は二十五年の猶予があった。
あれからもう四半世紀。
時が経つのは早いな、とエナカはしみじみ思った。

「メモリーズの数は相変わらず増えもしないし減りもしない。もうこれは政府の奴ら早急に事を運ぶだろう。」

「具体的にはどういうことするの?」

「ある建物の中にメモリーズがいると分かったらその建物ごと爆破。」

「そこにいる一般人は?」

「余程手強いメモリーズじゃない限り一般人は避難させるってよ。一応こっちにも作戦の種類は色々知らされててよ。政府は五年でメモリーズを全て排除するらしい。三年後には四分の一まで減らす計画らしいぞ。ま、つまり三年で百五十人殺すってことだ。」

三年後も生き残った五十人については、それこそ一般人も巻き込むようにして殺していくのだろうか。



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