佳き日に



[7]


今までずっと使っていたiPodがついに壊れた。
何度ボタンを押しても音楽が流れてこない。

世の中の嫌なこと全てを吹き飛ばすようなうるさいギターの音が聞きたかったのに。
琴はムッと胸に何かこみ上げてくるような気がした。

古い型だから修理に出すよりも新しいのを買ったほうが賢明だろう。

使い込まれてところどころに傷がついているそれを見つめる。
あまりの壊れるタイミングの悪さに無性に腹が立って琴は思いっきりiPodを床に投げつける。

カシャン、と音がした。

力なく床に転がっているそれはあまりにも惨めに見えた。


「琴、床を傷つけないでください。」

閏の注意も聞こえないフリをする。

イライラする。
そのイライラの理由も分からないので、琴自身どう対処すればいいのか迷っていた。
どうして、なんで、という想いが渦巻く。



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