佳き日に
萩と灰神楽が死んだ日、家に帰った途端琥珀は閉じこもった。
一日経ってもまだ出てこないのだ。
雪は雪で秘密警察から情報を集めるため出かけていった。
残された閏と琴はひどく静かなこの家でなんとも言えない気持ちを噛みしめることとなった。
間近で人の死を見て琥珀はショックを受け、落ち着くまで一人になりたかったのだろう。
頭では分かっている。
だが、一方心では嫌われたかもしれない、という謎の不安が広がっていた。
人を殺して生きてきたんだから嫌われるなんて当たり前だ。
好かれる要素など何一つない。
そもそも、柳琥珀という人間の女の子に嫌われたところで自分の人生には何の問題もない。
問題は、ないはずなのだ。
だが、胸につかえた寂しさが取れない。
やだな、と琴は思った。
こんな馬鹿みたいな感情、メモリーズには必要ない。
そもそも、人間と関わったことが間違いだったんだ。
ココアを飲み干し、琴は目をつぶる。
排除しよう、と思った。
胸に広がった、今まで知らなかったこの気持ちを。