佳き日に
[2]
黒縁の眼鏡に触れそうな程長い睫毛。
毛先がゆるく巻いてある黒髪が小さな菘の顔の周りをちょうどいいバランスでふんわりと覆っている。
ぷっくらとした唇。
五歳上だからそう感じるのか、桔梗は菘を見ていつも色気があるな、と思うのだ。
まぁ菘はその美貌を武器に暗殺者になったのだからそれは当たり前のことで。
桔梗は物憂げな表情をしている菘の前にお茶を置いた。
「玄米茶でいいですか?」
ホカホカと湯気が出ているお茶。
菘は瞼を伏せてじっとそれを見つめていた。
「あんた玄米茶好きだね。」
「え?」
思わぬ方向からの菘の言葉に桔梗は少し戸惑う。
「鉛丹が言ってたよ。桔梗は出かける度に玄米茶飲んでるって。」
そう言われてあぁ、確かにそうかもしれない、と思った。
好きか嫌いかで言うならば好きだが、あの穀物くさい匂いが好きなだけだ。
お茶の味には桔梗はあまりこだわらない。