佳き日に
「お前、映画見るか?」
脈絡なく話を切り出すせんべいにエナカは戸惑いながらもなんとか頷く。
「ある有名なアニメ映画作ってるところがあるだろ。で、俺はそこの作った映画の中でも山の話が好きなんだ。」
「そんなのあったっけ?」
「あっただろ。村で弓矢で戦う男と、山犬に育てられた女の子の。」
そこでようやくエナカは合点がいった。
もう何年前になるか分からないが、大ヒットという謳い文句に釣られて見に行ったことがあった。
内容は朧げにしか憶えてないが。
「あの映画、最終的には人間が作った火薬爆薬で自然が破壊され山の神も殺されるだろ。三匹だった山犬も二匹になる。自然だって元に戻ったかのように見えるがそれは違う。山の神が死んだんだ、もう元には戻らない。」
あの映画はそんかに暗い内容だったのか、思い出せないエナカは静かにせんべいの話に耳を傾ける。