佳き日に
「で、何が望みなの?」
「やだなぁその言い方。俺はエナカさんの話を聞きたいだけですよ。」
へラリと笑う白川。
周囲を人に囲まれているせいか、空気が重い。
主導権をにぎらせてたまるか、とエナカは白川にかみつく。
「話を聞きたいんだったらまず理由を話してよ。」
「理由、ですか。」
白川は顎に手を当て眉を下げた。
「理由っていうか、白川、あんたは何なの?」
「人間です。」
うっぜぇ。
エナカの眉間に深い谷と高い山ができた。
両手を上げヘラヘラ笑う白川。
これはイラつくのもしょうがない。
「違う。秘密警察とか政府とか、所属してるのはどこで、私の敵なのか、なんで私に惚れたフリして近づいたのか教えてよ。」
「質問多いですねエナカさん。俺はどちらかといえば政府寄りで、エナカさんの敵の立場ですね。」
やっぱりか。
予想はしていたが、エナカは今のこの状況の悪さに眉を顰める。
白川はそんなエナカの機嫌など素知らぬ様子だ。
「でも、フリじゃないです。俺がエナカさんに惚れたのは本気です。俺けっこう一途なんですよ。」
「今そういうの要らないから。」
「エナカさんドライですね。」
何故だかエナカは目の前の白川の顔を思いっきり殴りつけたかった。