佳き日に
「で、エナカさんに教えてもらいたいのはせんべいがエナカさんの家に行って話した内容です。」
白川はそう言ってエナカの目を見つめてくる。
エナカは息を吐き出す。
「仲間にならないかって、言われた。」
「エナカさんは断ったんですか?」
「勿論。」
「なぜですか?エナカさんとせんべいさんは仲が良かったのでは?」
「私は情報屋を殺したらもう今後一切メモリーズに関わらないことに決めてたから。」
「そうですか。」
エナカから聞きたい情報をほとんど聞けず白川は少し落ち込んでいるようだ。
「エナカさんに何かこれからの計画とか、言わなかったんですか?」
「うん。私が断った後は、普通にテレビ番組の話してた。」
シャーッと音がして、周りが明るくなる。
光にエナカが目を細めると、白川が席から立ち上がっていた。
「お手数かけてすいませんでした。」
「うんけっこう迷惑だった。」
思ったままのことを言えば、白川は苦笑いした。
眉が下がり、目が細められ、うだつの上がらないサラリーマンの顔。
この人の良さそうな顔に騙された。
裏の世界に何年か身を置き、人を見る目はあると思っていたのに。