佳き日に
「雪はこんな所で何してたの?」
「気になることがあったから調べていた。」
ぼんやり、のんびりしたテンポの雪の声は耳に心地良かった。
眠気を誘うような。
この光景は、他の人からは年の離れた兄妹の会話に見えるのだろうか。
琥珀はふいにそう思った。
人生相談でも恋愛相談でも、とりあえず悩みを話す妹に、妹の話を聞いてあげる兄。
なかなか暖かい家族の一枚だ。
なんだか面白くなってきて、琥珀は口を綻ばせた。
兄妹だったら、そんな想像がふくらむ。
雪はどんな日々を想像するだろう。
浮ついた気持ちで雪の方を見る、と。
カックンカックンと、激しく船をこぎ、雪が寝ていた。
口元が引きつる。
まぁ、どんな場所でも問題なく寝れるっていうのは長所だよ、と寝ている雪に語りかける。
裏切られた感がすごい。
なんかこう、がっくりきた。
雪は変なところがあると分かっていたはずなのに。
まさかここまで型を外し予想を裏切ってくるとは。
型にはまらない男っていうのは、聞こえはいいが話し相手には不向きなのだ。