佳き日に




「そういえばお前、雨の日記はもう読んだか?」

「え、うん。一応一通りは読んだよ。」

昨日読み終わった雨の日記はハッピーエンドではなかった。
どちらかと言うとアンハッピーエンド。
茜のことを想って助けた後、姿を消した雨。

しかし八年後、茜は赤い女となって雨の敵となる。

最後は雨が自ら死んでいった。
雨が生きているうちに報われなかった想い。

後味が悪いというか、胸にモヤモヤしたものが残る日記だった。

茜が雨の死後幸せに暮らしていてくれれば、それが唯一の救いとなるのだろうが。


「俺はその雨の日記を赤い女に渡すつもりだ。渡した後は、自分の好きなように生きる。」

雪は赤い女を探しているのか。
琥珀は雪を見つめる。


「幸いなことに殺し屋っていう職業は儲かるからな。無職になって警察に追われる立場になっても困らないだけの金はある。」

「日記を渡したら、秘密警察も抜けるの?」

「そうだ。そこから、俺の復讐劇の始まりだ。」

滅多に笑わない雪が、そう言ってニヤリと笑った。
初めて見るその端正な笑みに、琥珀は少しドキリとする。



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