佳き日に
閏の気持ちが少し吹っ切れたところで雪が話を切り出した。
「あと一週間もしないうちに鉛丹や菘たちが動く。早急に赤い女を見つけるぞ。」
赤い女。
一週間。
雪の言葉の端々の単語が閏の頭の中を巡る。
「でも見つけると言っても手がかりは雨さんの日記だけですよ。」
閏はそう言って琥珀が持っている雨の日記を指す。
黒い表紙の分厚い日記。
これ以外に手がかりは何一つない。
「一年以上もの期間の赤い女との交流が記されているんだ。十分だろ。」
「プロファイリングとかやるの?おもしろそう。」
自信満々な雪に琥珀もその気になっている。
二人とも何とかなるだろうと思って本当に何とかなることなんてないんですよ、と諭そうとして閏ははたと思った。
前にもこんな光景見たことある気がする。
雪と琥珀にどうしようもないな、と笑ってしまった日。
閏がメモリーズではなく雪に協力することを選んだ日。
あの日から何一つ変わらない二人ののほほんとした空気に閏は思わず笑ってしまった。
案外お似合いかもしれない、この二人。
閏はそう思うだけで、絶対口には出さない。
口にすれば、二人が揃って呆然とした変な顔をするのが目に見えてるからだ。