佳き日に




「琥珀ボーッとしてねぇで逃げろし!」

「えっ!?はいっ!」

思わずそう返事して立ち上がる。

逃げるって、どこに?

後ろを振り返ればゴッと音と共に琴が誰かを殴っていた。
殴られていた人は琥珀の見間違いでなければ桔梗だ。
なんで彼がここに?


「走れ!」

鬼気迫る琴の二度目の怒声によってようやく琥珀の足は動き出した。

ダッと猛スピードで角を曲がり、車が行き交う通りを突っ走る。
通行人の視線など気にしていられない。


「キャーッ!」

「誰か警察呼べっ!」


後ろから人々のざわめきが聞こえる。
追ってきてるんだ。
心臓が途端に締め付けられる。
恐怖。

呼吸はうまく行えずヒューヒューと息は不規則。
それでも足を緩めたら殺される。




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