佳き日に
「銃持ってるぞ!」
「早く逃げろ!」
銃。
死ぬ。
イメージが湧いた瞬間、車に轢かれることなど考えずに琥珀は車道へ飛び出した。
プーッとけたたましいクラクションに、キィィッと耳障りなブレーキ音。
逃げなきゃ、死にたくない。
パニックに陥った頭では自分がどこを走っているのか気にしていられなかった。
「車止めろ!撃つぞ!」
後ろからさらに激しいクラクションの音。
人々の悲鳴。
次々と車から降り皆必死に走り逃げていく。
悲鳴と怒声と、たくさんのざわめきで混乱状態。
そのとき、パァンッと銃声。
その場が水を打ったように静かになる。
先ほどまでのパニック状態が嘘のようだ。
琥珀も例に漏れず足を止めていた。