佳き日に
周りの人々がひっと息を飲んだのが分かる。
眉一つ動かさず鉛丹は上へ掲げていた銃を降ろす。
銃口は、しっかりと琥珀を捉えていた。
引き金が引かれれば、死だ。
だが、不思議と琥珀は落ち着いていた。
どきりともしなかった。
一つの確信が、胸に大きな安定をもたらしていたのだ。
「私を撃てば、鉛丹の願いはきっと叶わないよ。」
鉛丹の表情に僅かな動揺が見れた。
銃口は相変わらず琥珀の方を向いている。
でも、怖くはなかった。
琥珀は鉛丹の秘密を知っている。
そして、願いも。
鉛丹が自ら琥珀に話したことだ。
つまり、鉛丹は琥珀を殺すつもりなど毛頭ないのだろう。
大切な秘密を知る、唯一の人間を殺すはずがない。