佳き日に



「名前、教えてもらっていいですか?」

茜がそう言えば、女の人はポテトチップを食べながらケラケラ笑った。


「やーよ。警察なんかに名前教えるわけないじゃない。」

そう言って目を細める瞳の色は茶色ではなかった。


「私も一応裏社会に一枚噛んでいてね。でも夫が本っ当に能無しで。武器輸入で一発当ててやるとか言ってるけど多分無理よね。」


言ってることはあまり良いことではなかったが、女は笑いながらそう話した。
上手くいかないことを嘆くのではなく、むしろその一筋縄ではいかない人生の難しさを楽しんでいるような感じだ。


「雨にあなたを見守るように頼まれたの。あなたが自殺とか、そんな愚かな行動をしないように。」


茜は無言で女を見つめる。
女はニッコリとした笑みで見つめ返してきた。

口の周りがポテトチップの油でテラテラと光っている。




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