佳き日に
[2]
追いつきそうで追いつかない。
なかなか縮まらない差に鉛丹は舌打ちする。
琥珀に出し抜かれた後鉛丹もすぐその辺にあった自転車に乗り追いかけたがやはり遅かった。
すでに小さくなっていた琥珀の背中は五分程全力でこぎ続けている今でも近づく気配が見えない。
向こうも本気なのだろう。
だが、ここまで体力があるというのは想定外だ。
猛スピードで十字路に出た時、鉛丹が通る直前に信号が赤になった。
構うものか。
信号を無視して突っ切ろうとしたとき、ウーッウーッと嫌な音がした。
キキィッと耳障りな音をたて鉛丹は急ブレーキする。
だが、あまりの勢いで自転車ごと転んでしまった。
パトカーの音だ。
顔を地面に向けたまま鉛丹は思った。
ここで警察に見つかるのはまずい。
だが、そのせいで琥珀を見失ってしまった。
せっかく菘と桔梗が雪たちの足止めをしてくれたのに。