佳き日に




今まで散々人を殺してきた琴が言えることではないが、見捨てるのが早すぎる。
納得いかない。
同じ人間だろ、お前ら。

そう言おうと口を開けて、思いとどまった。
他人任せにしてるから埒が明かないのか。


「じゃあ俺が追われてる人間を助けにいくし。」

自分でなんとかする。
ヤケクソぎみに琴は言い捨てた。


「ダメです。」

「は?」

「我々の計画の邪魔になります。」

「じゃ、琥珀は見捨てろってのか?」

「そうです。」

カッと、自分でも抑えが効かぬ速さで頭に血が昇った。

気が付いたら、相手の胸ぐらを掴み腕を振り上げていた。


「っざけんじゃね……」


殴ろうとした。

その瞬間、相手の腕が動くのが見えた。
見慣れた動作だ。

ドクン、と心臓の音が大きく聞こえた。


瞬間、琴は本能で動いていた。




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