佳き日に
パアンッと乾いた音が響く。
近くで誰かが叫ぶ声と、鋭い痛み。
「契約違反だし。」
弾丸は琴のこめかみを掠めた。
掠っただけでも血はドバドバ流れ、なかなか痛い。
琴は相手を睨みつける。
「正当防衛です。最初に殴ろうとしてきたのはあなたでしょう?」
「どう考えたってやりすぎだし。一発目から脳天狙って殺す気だったし、お前。」
本能的に逃げていなかったら琴は死んでいた。
だが、相手の言うことも一理あるのだ。
こちらが危害を加えない限り秘密警察も危害は加えてこない。
そういう取り決めで関係は成り立っているのだ。
琴は一つため息をつき両手を上げた。
だが、相手は未だ銃を降ろさない。
「俺はもうお前に手を出さない。約束するし。だからお前も銃を降ろせ。」
琴は努めて冷静にそう言った。
だが、銃を持ったまま相手は不思議そうな顔をするだけだ。
「何か勘違いしていませんか?」
おかしい。
何かがおかしいと、男の様子を見て琴はそう思った。
「我々は政府関係者であり、秘密警察ではありません。つまり、あなたをここで片付けてしまっても問題ないわけです。」