佳き日に
[7]
「やべぇし。寝坊した。」
古いカプセルホテルの一室。
琴は携帯を見るまでもなく、寝すぎたことを悟った。
今日は雪に話があると呼び出されていたのに。
やはり昨日遅くまでゲームしていたのがいけなかったのだろう。
雪に怒られるとか、マジ憂鬱だ。
そう考えながら琴は重い体を起こし鏡の前に立つ。
栗色の髪があちらこちらに飛び出している。
琴の髪は元々癖っけだからか寝癖がヒドい。
ここまで大胆に跳ねられると、これが一種のアートに見えてくる。
直さなくていーんじゃね。
そう思い、これから雪へ謝罪する言葉を考えるのもめんどくさくなり、琴はまたベットにボスン、と倒れる。
ピピピピピ
「・・・・なんだし。」
二度寝直前に電話がかかってきた。
なんてタイミングの悪さだ。
イライラしながら携帯を取る。
「うげぇぇ。」
雪からだった。
今一番会いたくない人物ナンバーワンなのに。
絶対怒られる。
琴は二回深呼吸をし、覚悟を決めて電話に出る。
『よぉ、やっと出たか。』
「・・・なんだし。」
『寝坊か?』
「・・・。」
図星をつかれて琴は言葉につまる。
確かに雪の言う通りなのだが、ここで認めるのはなんか癪だ。