佳き日に



「まぁいい。お前にやってもらいたいことがあるんだ。」

あれ、と琴は一瞬変な気持ちになる。
寝坊して呼び出しすっぽかしたのに雪が怒らないなんて珍しい。
というか、今までそんなことはなかった。

何か怒っていられないくらい切羽詰まったことが起きているのだろうか。


「殺し?」

『違う。なんでお前はそう物騒な方を連想するんだ。』

雪が小さく笑ったのが分かる。


「だって雪いつも人殺しは俺に頼むし。」

『まぁそうだよな。』

というか、俺が出来ることなんて人殺しくらいだし。
琴は心の中でそう呟いた。


『琴、お前、この前福島に赤い女が出たってこと知ってるよな?』

「知ってる。」

『顔と名前は分かるか?』

「んー。柳琥珀。顔はなんとなく覚えてる。そいつがどうかした?」

『俺が囮として使ったんだ。』

「へー。じゃああの子一般人だったんだ。記憶盗めないからメモリーズについて何か知ってるのかと思ったし。」

雪がまたフッと笑ったようだ。
記憶盗もうとしたのか?とおかしそうに聞いてくる。


『で、お前に頼みたいことってのは、その柳琥珀が今どこにいるのか見つけてくることだ。出来れば昼前には見つけてほしい。』

「そんなの椿に頼めば15分で見つかるんじゃね。」

こーゆーことにこそ情報屋を利用すべきじゃん。
雪らしくないやり方に琴は首を傾げる。

窓の外を見れば、太陽が高いところにある。
今は朝の十時半くらいだろうか、と琴は思った。


『あぁ、琴は知らないのか。』

「何を?」

『俺らが警察側だってことがバレたんだよ、椿に。』

「・・・・はぁっ!?」


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