佳き日に
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柳琥珀の後を追い、琴はバスに乗り込む。
2、3席彼女よりも後ろの席に座り、こそこそと雪に連絡をとった。
乱れていたフードを深くかぶり直し、窓の外を見る。
昼過ぎだからか、OLやサラリーマンが目立つ。
風景の一つに、CDショップの看板があった。
今度行ってみようかと思い、琴は流れてゆく看板を目で追う。
そうして顔を後方へ向けたとき、気になるものが目に写った。
黒い車だ。
何故気になったのかと言われれば、勘としか言いようがない。
琴はそういう性格だ。
その自らの勘を信じて何回か後方をチラリと見る。
何度繰り返しても、その車はバスの後をついてきていた。
運転している人の顔は見えない。
何かフードをかぶっているのか。
「同業者とか・・・。」
そう言い琴はチッと舌打ちする。
また、めんどくさい奴がやってきたものだ。
琴の気持ちが滅入ると同時に、バスが停車した。
柳琥珀が立ち上がる。
どうやら降りるようだ。
琴も後について降りる。
後方を見れば、黒い車は近くの床屋の駐車場に停めているようだ。
だが、降りて床屋に入るわけでもない。
クロだな、と琴は確信をもつ。
ちょうどそのとき、雪から電話がきた。