佳き日に

[4]


21年ぶりのメモリーズとの遭遇に、エナカは心臓の音が急に大きく、リズムが速くなるのを感じた。
頭痛もし、ドッと汗が吹き出し、周りが見えなくなった。
焦っていたのだ。

気づいたら琥珀の手を取り走り出していた。


「エナカ!?」

動揺した琥珀の声が聞こえた。

いきなり知り合いが現れて腕を掴まれて全力疾走。
驚くのも無理はないだろう。
だがエナカにはそんな琥珀を気遣う余裕もなかった。

とにかく、人の多い所に逃げなくては。
エナカの頭の中はそれだけだった。

「い、いらっしゃいませー。」

結局、行き着いたのはスーパーだった。
転がるように入ってきたエナカと琥珀に店員も目を丸くしている。
ゼェゼェと肩で息をしながら琥珀は隣にいるエナカを見上げる。

「エナカ、急にどうしたの?」

尋ねてみても、エナカは無反応。
というより、じっと何か考えている。

いつになくピリピリした様子のエナカに琥珀は戸惑うばかりだ。

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