佳き日に
エナカは鞄の中のある物を見つめながらその曲に耳をかたむけていた。
鞄の底に、あったのだ。
見た目はシャーペンの替芯を入れるもののような長方形で小さく黒光りしている。
よくよく見れば、盗聴器。
昔のとは違い随分精密に作られているようだがエナカは騙されなかった。
同時に、エナカの願いは叶わなかった。
琥珀は、何か危険なことに巻き込まれている。
恐らく、本人の知らないところで。
さらに悪いことに、メモリーズまで関わっているようだ。
頭を抱えるエナカを他所に、琥珀はあっけんからんと話し始める。
「うん。二人できたよ。どっちも小さくて可愛い男の子。」
「そう。琥珀、あんたコンタクトレンズしてる?」
「うん、してる。」
「その小さくて可愛い男の子もあんたがコンタクトレンズしてるかどうか聞いてこなかった?」
「うん。聞いてきた。」
「その男の子たちの目の色は?」
「茶色!ビー玉みたいにクリクリしてて、綺麗だったんだよね。」
そこまで分かれば、もう十分だった。
エナカは鞄を琥珀に戻した。
そして鞄から取り出していたシャー芯入れのような盗聴器を永遠と三五八漬けの曲が流れるスピーカーの前に置いておいた。
「とりあえず、私の家に行こうか。」
きょとんと不思議そうな顔をしている琥珀に声をかける。