イジワル社長と秘密の結婚

近くの椅子に座り、一部始終を話すと、蒼真さんは呆れた顔を向けた。

「咲希、一応知らせておいたはずだけどな。サンフランシスコ経由で帰るって」

「えっ？ そうでした……っけ？」

心当たりがあり、LINEを読み返すと、たしかにそう書かれている。ニューヨーク便じゃないから、間違えるなとも……。

「だろ？ 結構、おっちょこちょいなところがあるんだな」

「ごめんなさい……。だって、早く会いたかったから」

小さくなりながら言うと、蒼真さんは耳元で囁いた。

「それは、俺も一緒。ここじゃキスもできないから、早く家へ帰ろう」

「はい……」

会社へは、明日顔を出せばいいからと、私たちはタクシーに乗り込み、自宅へと向かった。