イジワル社長と秘密の結婚
しばらくして、お互いに少し呼吸を乱しながら、唇を離す。私はどこかボーっとする頭で、蒼真さんを睨んだ。

すると、彼はクスッと笑いながら私の唇を拭った。

「離婚するまで、咲希は俺の奥さんだから。他の男を想うのは禁止」

「え……?」

なにを考えているの? キスの意味も、言葉の意味も分からない。

呆然とする私に、蒼真さんは続けた。

「結婚ごっこも、いいかもしれないな。どうせなら、夫婦でいる間は楽しもうか?」

「ほ、本気で言っているんですか?」

「本気だよ。俺さ、時間を無駄に使うのは嫌いなんだ。不本意な結婚でも、別れるまでは楽しまないと損だろ?」

損とか得とか、そういう問題じゃないと思う。納得できないというように顔をしかめると、蒼真さんはさらにクスッと笑った。

「いいじゃん。なにが、自分たちにプラスになるか、分からないわけだし」




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