オオカミ先輩の猫かぶり
「あー出た出た。すっきりさっぱり!」



お腹をポンポンと叩きながら、トイレから出る。



「うーさーみーさんっ。」



「げっ!」



出た先には、壁にもたれかかりながら、嬉しそうな表情を浮かべる大神先輩がいた。



「そんなに嫌そうな顔しないでよ。」



「何してるんですか?」



「待ってた。一緒に帰ろ?」



こてんっと首をかしげる先輩は、悔しいけどめちゃくちゃ絵になってて。



負けた気がするけど、なんだか断れないなぁ。



「別に、構いませんけど。」



ちょっとだけ、ドキッとしてしまったのを隠すようにぶっきらぼうに返事をする。



「やった。ありがとう。じゃあ、帰ろ。」



嬉しそうにふわりと笑う先輩。



可愛すぎるわ…反則でしょ。



「あ、はい。荷物取ってくるんで、下駄箱の前集合で。」



「一緒に行くよ。」



「いや、良いですよ。悪いですし。」



「俺が一緒に行きたいの。ダメ?」



そんな可愛い顔で見つめられたら、NOとは言えない。



「分かりました。」



「やった。行こ。」



るんるんで歩いていく先輩。



なんか、全部先輩の言う通りに物事が進んでいるような…。
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