愛は満ちる月のように
「はいはい。じゃあ、続きは帰ってからってことで」

「その前に、ちゃんと夕飯くらい食べさせてくださいね」


そういえば、ちゃんとしたランチはあとで取る予定で、喫茶店ではケーキを食べただけだった。そのあと花見に誘われ……。

美月はわざとらしく、つんと澄ました表情だ。

掛け布団で身体を隠しながら、悠に脱がされた下着を手探りで見つけようとする辺りがたまらなく可愛らしい。


「そう言えば腹が減ったな。誰かさんが酔って騒がなきゃ、十六夜の料理が食べられたのに……。そう思わないかい、美月ちゃん」


彼女はポッと赤面して、


「だ、だから、謝ったじゃないの……。責任取れって、あんな恥ずかしいことまでしておきながら……」


小さな声でブツブツとつぶやいている。

よほど、悠が脚の間に顔を埋めたことが恥ずかしかったらしい。それとも、その行為に感じすぎて部屋中に響くような声を上げたことのほうか。


悠は顔を覗き込むようにしてもう一度口づけ……。


「でも、君の甘い蜜を味わえたから、僕は満足だけどね」

「ユウさんのエッチ!」


美月は掛け布団を身体に巻いたままバスルームに消える。そんな彼女を苦笑して見送る悠だった。


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