愛は満ちる月のように
美月が日本を離れたのが十五歳のとき。体型は大人の女性に引けを取らないものだったが、精神的にはまだまだ幼く、この世の中で一番素敵な男性は父だと信じていたころだった。

当時の標準的なラブホテルの仕様など一切知らない。

少ない情報の中から、そういったホテルで長く愛されているのが“回転ベッド”だと耳にした気がして、それを悠に伝えたのだった。


その部屋はあらゆるものがピンク色にデコレートされていた。

円形のベッドは枠組みもシーツもカバーもピンク色。ベッドの横と上には大きな鏡があり……枠は当然ピンクだ。そして、ジェットバスもピンク色だった。

しかもバスルームにはなぜか、大きなエアマットが敷かれていた。

美月がその上に転がり、無邪気にはしゃいでいると……。悠は少し困ったような顔をして美月の隣に座り、“プレイマット”と呼ばれるものの使い方を実地で教えてくれた。

とはいえ、美月から積極的には動けなかったので、どちらかと言えば、悠に奉仕してもらっただけではあったが……。


美月はそこに、悠からのプレゼントを身に着けていった。

それは信じられないほどセクシーなランジェリー。ブラジャーとショーツにガーターベルトまでセットになっている。サイドを紐で結ぶタイプのショーツなど、見たのも穿いたのも初めてだ。

国内有名メーカーの品物だし、専門店の店頭で売られているものなので、決していやらしいことが目的のデザインではない、と思うのだが……。


『一番不思議なのは、どうしてユウさんに私のサイズがわかったのかっていうことかしら』

『ああ、それは……ひと晩タップリ触らせてもらったからね』


そんなことを言いながら、嬉々として紐を解く悠だった。


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