愛は満ちる月のように
桐生の件はどうなっているのだろう。何か連絡はあったのだろうか?

それだけでなく、無言電話の件も気になる。

あれ以来、この家の電話は鳴らなくなった。

不思議に思って美月が尋ねると、回線そのものが使用停止の状態だという。必要な連絡はすべて携帯で受けるので、仕事に影響はないらしい。

あの電話は桐生の関係者だろうか……。

しかし、悠の様子を見ていると、別の心当たりもあるような気がしてならない。


『夫婦というか、恋人同士のように遊んでみないか? その……離婚や子供のことはひとまず保留して』


悠の言葉に乗ったのは美月だ。

だがそれが、日を追うごとに美月の心を辛くする。重石のように圧し掛かり、ひとりになると涙が込み上げてくるほどだった。
 

唇が重なり、キスはあっという間にふたりの身体に火を点ける。

悠の手は、彼のパジャマの上だけを羽織った美月の身体を撫で回した。腰からヒップに手が下りていき……驚いたように止まる。


「美月ちゃん? ひょっとして……パジャマだけ?」

「悪い? だって、誰かさんがすぐに脱がすんだもの」


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