愛は満ちる月のように
我ながら、一週間前に比べてなんて大胆になったのだろう。

美月は悠の首に両腕を回し、彼の顎に軽くキスしながら、


「気に入らないのなら、何もしなくていいわ。私はこのまま寝るから……きゃ」


ふいに、悠は美月を抱き上げた。


「おいおい、奥さん。僕をこんなにしておいて、ひとりで寝るなんて冗談だろう?」


横抱きにしたまま、彼はルーフバルコニーに置かれたガーデンチェアに腰かける。その瞬間、ヒップの下にある硬いモノに気づいた。


「ユウさん……窮屈そうだわ」

「ああ、君と違って下着を穿いてるからね。少しずらしてくれないか? 君の手で楽にしてやってくれ」


悠が本当の意味で楽になったのは約三十分後――。

それも、美月の手ではない場所だった。



「ねえ、ユウさん。私たち抱き合ってばかりいるわ。明日から仕事なんでしょう?」


チェアの上でふたりは向かい合っていた。

美月は悠の膝に乗ったまま……。荒い息を整えながら、彼の胸に顔を埋める。


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