冷姫Ⅰ
人気のないところまで来て振り返る。



「なんか用?霧」



「やっぱり気づかれてたか」



「気づくようにつけたんでしょ。殺気を出しながら」




「普通のやつなら気づかない程度にな」



「まぁ、私も、霧とは話したかったし。ちょうどいいわ」



そう。私は霧と話したかった。あのなかで一番強いはずのこいつと。



「なんで強いこと隠してるの?」



「そこまでわかってたのかよ。隠してるわけじゃねぇ。ただあいつらの前で喧嘩したことないだけ」




「喧嘩嫌いでしょ?」



「フッ。なんでもお見通しか。じゃぁ、俺も一個イイか?」



「いいわよ」



「雪は活動を休止してるあの『百季(びゃっき)』の総長『冷姫』だろ」



こいつ・・・何者だ?



「なんでわかった?」



身構えながら聞く。




「あんたとやりあう気はないから、そう構えんなって。どうせ俺勝てねーし」



構えをといてもう一度聞く。



「なんでわかった?」



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