クロス†ハーツ
「あ、水瀬――」
唯は葵にこそこそと文句を言うのに夢中だし、葵は葵で水瀬と絶対に喋りたくないみたいで。
私たちの雰囲気が、かなり凍りつき始めたので、ごまかして何か話そうと水瀬の顔を見ると。
「どうしたの、雨宮さん?」
水瀬は満面の笑みだった。
でも、私には分かる。
目は完全に、笑ってはいなかった。
目が、目が怒ってる…!
何してくれちゃったんだよ、葵!
絶対私に、とばっちりがくるんだよ!?
腹黒サディストなんだからー!!
『それでは、登場して頂きましょう!まず最初は、中等部生徒会の会長の雨宮葵くんと会計の雨宮唯さんです!』
その時、マイクから司会者の、イベントの開始を伝える言葉が響いた。
唯はくるっと私たちの方に向き。
「それでは私たち一番手なので行って来ます!水瀬さん、本当すみませんでした!」
「……」
「ほら葵!行くよ…!?」
唯は早口でそう言うと、無言の葵の頭を無理矢理下げさせた。
そして、2人は足早に舞台の上へ上がっていく。
2人がいなくなって、残された私と水瀬。
隣の水瀬からは、なんとなく殺気のようなものが感じられる。
「姉弟そろって、生意気だな」
「な…!わ、私…!?」
無表情でそう言う水瀬に、私は冷や汗をかくしかなかった。