クロス†ハーツ


「え、何、この手…」

「黙って繋げ。そういうことになってんだよ」


表の顔の笑顔はすぐに消えて、いつもの水瀬に戻り、強引に手を取る。


「行くぞ、笑顔だからな」

「う、うん…!」


そう言って、水瀬はすぐにステージに続く階段を上り始める。

手を繋がれてる私も、つられて階段を上り、あっという間にステージの上にいた。






うわ…。
すごい人…。




いつもはあまり人がいないはずの中庭は、今日だけ違っていた。

ステージの下には、学園の生徒を始め、観客がたくさんひしめき合っていて。
生徒のほとんどは歓声をあげながら、こちらに向かって手を振っていた。


『高等部風紀委員会、委員長の水瀬薫さん。そして、会計の雨宮凛さんです!』


司会者の男の子がマイクを通してそう言うと、観客の人々はさらに歓声をあげた。




やばい。
こんな大勢の人の前に立ったことなんてないよ…!

私、水瀬と違って、今まであまり注目されるようなことなかったし…!




頭はそんなことしか考えられなくて、顔が引きつってるのが自分でも分かった。

すると、水瀬に一方的に握られてる右手に少し痛みが走る。水瀬が強く握ったのだ。
はっとして水瀬を見ると。


「大丈夫だから、手だけ振っておけ」

「あ、…うん」


水瀬はこちらを振り向くことなく、小声で言った。

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