クロス†ハーツ
『雨宮さんは、中等部生徒会の雨宮双子のお姉さんなんですよね?』
「あ、はい。そうです」
『じゃあ、ここでお姉さんしか知らない、2人の秘密を教えて頂けますか?』
司会の子が明るくそう言うと、水瀬を挟んだ隣から、葵の「はい!?」という声が聞こえる。
『いやー、会長の葵くんは中等部では、本当に人気なんで好感度が下がるようなことを。お姉さん、ないですかね?』
「え、好感度、下げちゃうの…?」
司会の子は、生徒会仲間の前に、葵ときっと親しい仲なのだろう。
彼は葵の方をちらちらと見ながら、そう言った。
会場は相変わらず、笑いに包まれている。
「唯は、秘密なんてないと思いますよ。…本当に気の効く子で、一応葵が兄だから一番下なんですけど、精神年齢は私よりの上だと思います」
『おー…、じゃあお姉さん、結構ドジっ子なんですか?』
「ドジ、っ子…かどうかは分からないけど、たぶん唯が大人っぽいだけで、人並みだと思います、たぶん」
『では、葵くんは…?』
そう司会の子に聞かれて、私はちらっと葵のほうを見た。
葵は今にも司会の子に殴りかかりそうになっている。
今はそれさえも観客を笑わせるパフォーマンスになってしまっている。
葵は、本音を言ってしまえば結構子供っぽいけど、唯の話だと中等部の大半の子たちには“憧れの生徒会長”みたいだし。
とうとう困り果てて、言葉が出なくなってしまっていると。
「司会さん。そろそろ風紀委員の話、してください?」
「え、」
いきなり言葉を発した水瀬の顔を見ると、明らかに貼り付けた笑顔。
いつものような完璧な作り笑いではなかった。
「今は、風紀委員である僕たちへのインタビューの時間でしょ?」
その声は、マイクに入らないような小さな声で。
司会の子も、自分のしてることは良くないことだと察したのか。
「すみません、すぐに話題戻します」
マイクをはずして、すぐに謝った。