女王様のため息
淡々と。黙々と。
そうやって仕事をこなす奈々ちゃんの様子は傍から見れば孤独を寂しがる小動物に見えなくもなくて、男性の庇護欲をそそる。
でも、奈々ちゃんにとって仕事は効率よく早く終わらせるべきものらしく、ただただ地道にこなしているだけ。
孤独を寂しがるわけでもなく、人見知りだから一人でできるものは一人でさっさと済ませている。
そんな奈々ちゃんの芯の強さは「姫」というよりも「王様」に近いんだけど、男性たちはそれに気付かない。
気付かないまま、彼女を守らなくては、といつも気にかけているんだ。
「で、奈々ちゃんの結婚相手って、奈々ちゃんが本当はお姫様なんてイメージとは全く違う女の子だってことを知ってるの?」
くすりと笑いながら、何となく小さな声で聞いてみると。
「うん。すぐに見破られた。『姫は姫でも猫かぶり姫だな』って言われたもん」
「は?猫かぶり?」
「うん。同期だから私が姫っていうありがたくもないあだ名をつけられてるって知ってたからね。
いいとこ突いてるだけに、本当、むかついたよ」
小さくため息をつく奈々ちゃんの言葉に、私はぴくっと反応した。
「……ねえ、同期って言った?」
私の言葉に、奈々ちゃんは恥ずかしそうに肩を竦めて。
この時ばかりはあだ名どおりの『お姫様』らしく赤くなった顔で。
「うん……本社工場の、同期。甲野竜也って、知ってる……よね」
「うんうん。知ってるよ。同期で一番の出世頭だもん、みんな知ってる」
驚いて声も大きくなった。
そして、そんな私の言葉に奈々ちゃんも驚いていた。