女王様のため息
隣にいる司だけしか視界に入っていなくて。
確かに、視界には司以外入ってこないんだけど。
「真珠ちゃん、私が司をもっと早く解放してあげれば良かったんだよね。
本当に、ごめんね」
「え……?あ、あ、み、美香さんっ」
申し訳なさそうな声が後部席から聞こえてきて、驚いて振り返ると。
声音以上に自分を責めているかのような美香さんの顔。
「本当に、私のせいで長い間悩ませて、ごめんね」
両手を顔の前で合わせると、何度も頭を下げて謝る美香さんに、この数分間に私が話した甘ったるい言葉の数々を聞かれていたんだと気づいて。
一気に恥ずかしくなって体中が熱くなった。
「え、あ、その。いい、いいんです。司が、今は私を選んでくれたので、大丈夫です、それより、その……」
さっきの私が発した言葉、忘れて欲しい。
恥ずかしくて照れくさくてどうしようもない。
あわあわと、落ち着かないまま慌てていると、そんな私の様子に軽い笑い声をあげた司。
「本当、美香がもっと早く立ち直ってたら、俺と真珠ももっと早く幸せになってたんだけどな」
私が言った言葉よりも数段甘い言葉を呟いた。
「俺だって、美香と早く幸せになりたかったよ。あいつと別れた美香を守ろうと側にいたのに、司の方が美香の手を早く取ったっていうだけで恋人の位置にいたんだからな。
そこから俺が美香の心をつかむのは大変だった。
まじで美香には早く俺を選んで欲しかったよな」
小さなため息とともに響いた声は、春岡さんのもの。
美香さんの頭を軽くこづいて、笑っていた。