女王様のため息
わけがわからない私は、手紙を手にしたまま首を傾げた。
「それ、俺の娘が書いた手紙なんだ」
「娘さん?相模さんのお嬢さんですか?」
「ああ。お嬢というよりはお転婆と言った方が正確なんだけどな」
「はあ。……で、どうして手紙を」
少し照れながら娘さんの事を口にする相模さんは、どこにでもいるお父さんという感じで、『お転婆』と言って眉を寄せてはいるものの、どこかそれが嬉しげで。
きっと家ではいいお父さんなんだろうなと思える。
愛妻家として知られる相模さんだけど、きっと子供にも甘いマイホームパパなのかな。
「娘、茜って言うんだけど、小学一年で、ヴァイオリンを習ってるんだ。
最近買ったCDがかなりのお気に入りで、毎日聴きながら、いつかはプロのヴァイオリニストになりたいって練習してる」
「ヴァイオリン……。やっぱりお嬢ですね」
思わずそう呟いた私に、相模さんは小さく笑った。
「ヴァイオリンだけでなく、サッカーもやってるんだけどな。
だから、お嬢っていうのはイメージが違うかもな」
「サッカーまでやってるなんて、活発な女の子なんですね」
「ああ、習い事の付添いで、毎日葵は大変だよ。
おまけに茜の双子の兄貴の慶汰も野球をやってるし、俺と葵のスケジュールは子供たちの習い事で埋まるんだよな」
「双子?なんですか」
「ああ。葵も双子だから、遺伝なのかもしれないな」
子供の話をする時よりも、奥様の葵さんの話をする時に浮かべる表情の方が優しげで、本当に愛してるんだろうなあってすぐにわかった。
それも、相模さんの魅力に見えてしまう。