女王様のため息
「司……?」
「ん?」
「泣いてる?」
「え?何言ってるんだよ、泣いてるわけないだろ」
慌てて目元を手で拭う直前にきらりと光ったものはきっと涙だけど。
あまりにも焦っているその様子がなんだか可哀そうで、それ以上突っ込めずにいると。
さすがに若い子たちは、そこを突っ込む事を諦めずに大きな声で
「うわあ、司さんって感激屋さんなんですねー。涙もろくてかわいいっ」
「真珠さんの事が本当に好きなんですね。俺、実は真珠さんを狙ってたんですけど、先輩が泣くほど好きなら諦めます」
「その顔、写真撮らせていただきましたーっ」
幾つもの騒がしい声が店内に広がって、慌ててやってきたお店の人に注意される事となってしまった。
部長も混じっている中でお店の人に怒られてしまった私達は、すみません、と何度も頭を下げた。
そんな私達の中で、司は恥ずかしそうに顔を歪めてうんざりとしたようにため息をつくと。
「また、俺の写真かよ。それもまた、一枚千円で売られるわけ?」
「え?また……?あ、あれか」
ふと思い出したのは、前に司と行ったラーメン屋さんでの出来事。
司の顔をスマホに撮って、それを司のファンの女の子に一枚千円で売ると言った私を怒ったっけ。