女王様のため息
「大丈夫だよ。何があっても真珠が幸せになるまで俺が側にいるから、大丈夫だ」

「海……」

ほんの少しだけ落ち着いた自分の呼吸を確認して、そっと見上げると、私がいつも頼りにしている海の顔がそこにあった。

私の事を全面的に守ってくれるとわかる家族以上に親しい距離にいる大切な人。

何があってもちゃんと私を見守ってくれる、その気持ちに揺らぎはない、愛しい人。

「……高校の時の、子供っぽい恋愛感情を育てていれば、私達は、ちゃんと今は大人の恋愛できていたのかな」

ぽつり、私の言葉に。

「……大人になって、それでも俺らは恋愛できていないんだから、結局無理だったんだよ、きっと。それでも、真珠の事は、大切でたまらないから。
ちゃんと、俺が守るから、安心しろ」

「そうだね……結局、私たちは家族のような感情しか持てないもんね」

「……だな」

恋人になれないのは、お互いにそんな感情を持っていないから。

高校生の時にどきどき、切ない気持ちをお互いに抱えながら、もしかしたら恋人になるのかもと期待もしながら過ごしていたけれど。

結局それが現実になる事はなく、親戚になってしまった私たち。

大人になって、なんのしがらみもなく自分たちの感情だけを優先してもいいほどに成長したけれど、今になってみれば、私たちは恋人にはなれないと感じる。

恋人ではなく、大切な家族、相棒、そんな枠の中で過ごしている事が正解だと気づいているから。

海に抱きしめられて、その胸に慰められても、そこから恋愛感情は生まれないんだ……。



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