桜空あかねの裏事情
その瞬間、少年の目が赤色を帯びて宝石のように輝き始める。
「………おお」
見入ってしまうほどのあまりの美しさに、あかねは思わず声を漏らす。
少年は満足げに微笑みながら、得意気に口を開いた。
「ねぇお姉ちゃん!行こうよ!」
「うーん……無理だよ」
はっきりそう告げると、少年は何故かこれでもかと言うほど目を見開いていた。
「お姉ちゃん、ぼくの目みてた?」
「?……うん。綺麗な赤色だったね」
素直に感想を述べると、少年はあかねを訝しげに見つめる。
「もしかしてお姉ちゃん、ぼくと同じ?」
「え?」
少年の言葉にあかねは、問い掛けようとした時。
「同じとは、どういう意味かな?」
相手を威圧するような低く重い、今ではもう聞き慣れた声が背後から聞こえた。
振り返れば予想通りの人物で、あかねは軽く溜め息をついた。
「…ジョエル」
「悪いなお嬢さん。待たせてしまって」
「まぁ少しね」
「そうか……で」
短い問答が終わると、ジョエルはあかねを背にして割り込むように二人の間に立ち、少年を見下ろした。
「同じとは、一体どういう意味かな?」
「別に?何でもないよ。サングラスのお兄ちゃん」
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